みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
「インスタントコーヒー」「缶詰」「電子レンジ」
これらの共通点はなんでしょうか?
答えは、
「軍事利用のために開発されたもの」
なんです。
つまり、戦争によって生まれた日用品ということです。
この中で、今回は「インスタントコーヒー」について少しばかり書いていこうと思います。
今や全世界で愛飲されているインスタントコーヒーです。
すぐに美味しいコーヒーが飲めるので、みなさんもよく利用しているのではないでしょうか。
このインスタントコーヒーは、実はかなり昔に発明されていましたが、今のように世の中に広がるきっかけとなったのが第2次世界大戦だったんです。
1771年、イギリスで水に溶かして飲める世界初のインスタントコーヒーが発明されました。
しかし、製品の貯蔵可能な期間が短かったために広まりませんでした。
その後も幾度か製品化されましたが、なかなか広まることはありませんでした。
1909年、ベルギーから米国に移住したジョージ・コンスタント・ワシントン氏がインスタントコーヒー「Red E Coffee」の商品化に成功しました。
一般消費者に飲まれるようになり、第一次世界大戦では米軍兵士達に配給され大人気となりました。
その後いくつかのメーカーがインスタントコーヒーの製造販売を行いましたが、その中でもスイスのネスレ社が最も大きな成功を収めました。
そのきっかけとなったのが、1920年代末期のブラジルでのコーヒー豆の大豊作でした。
価格相場が大暴落!
農民達は困窮し、そのことに苦慮したブラジル政府がネスレ社に余剰のコーヒー豆を使った加工食品の開発を要請しました。
そして、ネスレ社は「スプレードライ法」という技術によるインスタントコーヒーの製造を成功させました。
1938年4月1日、ネスレ社はスイスで「ネスカフェ」として製品を販売し、すぐにフランス、イギリス、米国に輸出を始めました。
これが世界中でインスタントコーヒーが広く飲まれる契機になりました。
その後には第二次世界大戦ではネスカフェが米軍の主要な飲料となり大量消費され、戦後、兵士達は帰国後も飲むようになり、これがきっかけでより多くの人々に受け入れられることになりました。
1960年代に「フリーズドライ法」によるインスタントコーヒーが米国で販売され、さらに美味しくなったことで人気となりました。
今や世界中の人々になくてはならない嗜好品のひとつとなった「インスタントコーヒー」ですが、戦争がきっかけで、これほど多くの人々に愛されるようになったとは、なんとも複雑な気持ちになりますね。