みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
前回は「業界用語」と題して色々と書きました。
今回も少しだけそんな話をしたいと思います。
「業界用語」とは少し違いますが、保育園で不審者を発見した時に知らせる「合い言葉」を決めていたおがげで、スムーズに園児達を園庭から建物内へと避難誘導できた、ということがニュースになりましたね。
そういった「言葉」を事前に決めておくことで、スムーズに事が運ぶことがありますね。
「合い言葉」のような「業界用語」は市場の中にもたくさんあります。
現在は東京『豊洲市場』になりましたが、以前の『築地市場』には、ホテル勤務時代によく買い出しにいきました。
僕たちは、そんな築地市場を『河岸』(かし)と呼んでいました。
朝早く、眠い目をこすりながら河岸に行きましたが、河岸に足を踏み入れると一発で目が覚めます。
その活気や威勢のいい業者の人達、縦横無尽に走り回る「ターレー」!(ターレーは市場内で使われている特殊な車両です。)
そんな雰囲気に飲まれ、テンションが上がってしまいます。
買い物をすると、会計場所にいる人へ「特殊な合い言葉」のような言葉が飛んでいきます。
例えば「3500円!」みたいには言いません。
数字も河岸ならではの言葉が使われています。
「セリ」で使われる言葉からきているのかもしれません。
ここでもやはり、調理場と同じく「兄貴」「弟」という言葉が使われています。
また市場を含め飲食業界では(他の業界でも使うかもしれませんが)「あがる」「あがり」「あがった」という言葉を良く使います。
仕事が終わり帰ったことを「あがった」と言います。
仕事を辞めた人のことも「あがった」、活魚も「死んだ」ではなく「あがった」という言葉を使います。
意味的にはすごろくの「あがり」と同じことです。
つまり「おしまい」ということです。
しかし「おしまい」ましてや「死ぬ」なんて縁起でもありません。
商いは水ものです。
些細なことにも縁起をかつぎます。
言葉の縁起かつぎは他にもたくさんありますよね。