みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
子供からお年寄りまで人気のあるお寿司が「いなり寿司」です。
僕も大好きです。
特に子供の頃は、いなり寿司ばかり食べていました。
今思えば、お祭りなどの時には、贅沢な「箱寿司」や、具だくさんの「巻き寿司」、サバやイワシを酢で〆たものがのった握り寿司など、どれも手間のかかっているものばかりが並んでいるにも関わらずです・・・
子供だから仕方ないですけどね・・・
そんな「いなり寿司」は、本来は、神へ捧げる神聖な食べ物なんです。
「初午祭」で「稲荷神」へ捧げるお供え物に由来します。
「稲荷神」は農耕を司る神様のことで、その神を祀るのが稲荷神社です。
その総本山が京都の伏見稲荷大社です。
「初午」とは、2月最初の午の日のことで、伏見稲荷大社がある稲荷山に神が降臨したとされる日です。
全国の稲荷神社では、五穀豊穣や商売繁盛を祈願する「初午祭」が行われます。
その際に稲荷神へ奉納されるのが、「いなり寿司」というわけなんです。
油揚げは稲荷神の使いとされる「狐」の好物です。
本来の狐の好物はネズミですが、殺生はタブーとされているため、代わりに大豆でできた油揚げを供えるようになったそうです。
その後、油揚げの中に農耕の神である稲荷神がもたらしてくれた飯(酢飯)が詰められるようになりました。
この稲荷神にまつわる2つの食材が組合わさってできたのが、「いなり寿司」なんです。
みなさん「いなり寿司」といえば、どんな形を想像しますか?
実は、東日本では主流が「俵型」です。
これは「米俵」に見立てて生まれた形です。
対して西日本では「三角形」が主流なんです。
こちらは「キツネの耳」に見立てたものです。
僕は当たり前のように、いなり寿司は「俵型」と思っていましたが、伏見稲荷のある京都出身のスタッフ「K」は「三角形」が当たり前だったそうです。
食べ物や文化、習慣などの東西の境目は「関ヶ原」あたりだといわれています。
とすると、元々いなり寿司は「三角形」だったのかもしれませんね。
ちなみに「おにぎり」の主流は逆で、東は「三角形」で、西は「俵型」なんですよ!
これも、僕はおにぎりといえば「三角形」、スタッフ「K」は「俵型」でした。