みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
みなさんは家で「きしめん」を食べますか?
そういわれると、ほとんど食べませんよね。
ほぼ「うどん」という方がほとんどだと思います。
実際、名古屋名物「きしめん」と言われるほどなのに、家ではほとんど食べられていないようです。
「名古屋めし」の中でももっとも歴史があるといわれているのにです。
明治時代には既に「ご当地の名物」とされ、全国的な知名度も「名古屋めし」の中で随一です。
その理由は
「きしめんは、作るのに手間がかかる割に儲けが少ない。このため提供する店が減り、名古屋人のきしめん離れが進んでいる」
ということなんです。
「名古屋のきしめん」といって思い浮かべるのは、新幹線や在来線のホームにある、立ち食いのきしめんのお店ですね。
あとは、熱田神宮の宮きしめんですかねえ。
名古屋駅構内のきしめんは、全国的にも有名で人気があり、地元名古屋でも人気があります。
特に新幹線や在来線を良く利用するビジネスマンのオジさん方に人気は高いようです。
現在、JR名古屋駅にきしめん店は10店舗あるそうです。
「住よし」「憩」の2つのブランドがありますが、メニューはほとんど同じで、きしめん自体は同じものなんです。
同社のきしめん店の年間販売数は、コロナ禍以前では実に100万食にもなります。
「きしめん=名古屋名物」というイメージが全国に広がったのはこのお店のため、といわれているくらいなんです。
「名古屋で一番美味しいきしめんを目指している」のかと思いきや、そういう訳でもなく、低価格でよりスピーディーに提供すること。その中で最大限に美味しいきしめんを」
ということなんです。
「国産むろあじ」と「宗田がつお」の削り節を使用し、創業当時から配合はかわっていないそうです。
麺はのどごしを重視したオリジナルの生冷凍麺です。
しかし、地元名古屋では「きしめん離れ」が深刻ということです。
そうなった原因は、実は「うどん屋」さん自身にあると言います。
1970〜1980年代の外食といえば、今のようにファミレスやファストフード、回転寿司、焼き肉店、各種飲食チェーンがあるわけでもなく、「うどん屋」が花形でした。
多くの注文をさばくため、多くのうどん店は製麺機を取り入れましたが、きしめんはこれと相性が悪く、機械ではきしめん特有の「なめらかだけど適度に凸凹」という食感を再現できず、手打ちしなければならなかったそうです。
しかも出前にも、きしめんは不向きでした。
麺自体が薄いので、うどんに比べてつゆを吸いやすく、お客さんのもとへ届く頃には半ばのびてしまっている状態だったんです。
それゆえ、「きしめんはこれくらいのもの」と思われてしまったようです。
そして最大の理由は、「手間がかかること」なんだそうです。
薄くてしなやか、しかもコシのあるきしめんを打つには熟練の技が必要なんです。
しかしながら、価格を高く設定できないというのが現実で、「苦労の割に儲けが少ない」というのが本音で、それよりも価格が高く設定できる味噌煮込みうどんを優先することになってしまったんです。
ということから、お店も積極的にきしめんを売らなくなったということです。
確かにお店でも「きしめん」はあまり食べませんね・・・