みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
「豚汁」
みなさんはどう読みますか?
「え!”とんじる”のほかに何かあるの?」
と思いました。
「とんじる」「ぶたじる」
に分かれるようです。
「そういえば”ぶたじる”も聞いたことあるなあ」
ある調査では、全国の約7割の人は「とんじる」と言うそうです。
その他の人は「ぶたじる」と言います。
特に「ぶたじる」という人が多いのは、北海道と福岡、長崎、熊本、大分の九州北中部のようです。
この2つの地域はだいたい7割くらいの人が「ぶたじる」と言っているそうです。
ほかにも、富山、三重、滋賀、鳥取で「ぶたじる」と言う人が多いようです。
ちなみに愛知県では「とんじる」が約6割、「ぶたじる」が約4割と、「ぶたじる」派も結構多いことがわかります。
「だから両方聞いたことがあるだ」
と理由がわかりました。
しかし、なぜ北海道や九州に「ぶたじる」と言う人が多いのか?
調べてみました。
するとこんなことがわかりました。
もともと鹿児島には鶏肉と野菜を煮込んで食べる「さつま汁」という郷土料理がありました。
江戸時代、中国から琉球、薩摩へ「豚」を食べる文化が入ってきました。
そうして
「鶏肉」が入ったものを「さつま汁」
「豚肉」が入ったものを「ぶたじる」
と呼ぶようになりました。
そして、1961年のNHKの放送では、東京の様子を伝えるニュースで「ぶたじる」というナレーションが入っていました。
歴史的には、鹿児島で生まれた「ぶたじる」が全国に広まったと考えられています。
まだこの頃は全国で「ぶたじる」と呼んでいたようです。
それでは「とんじる」という呼び方が生まれたのはいつ?どこで?どうして?なのか?
二十数年前、NHKがこのことについて調査を行っていました。
すると、あることがわかってきました。
東京では「ぶたじる」が「とんじる」と呼ばれるようになっていました。
それには「とんかつ」という呼び方が影響していたようです。
「とんかつ」は昭和に入って、東京・上野で生まれた豚料理と言われています。
そのとんかつ専門のお店で、豚の切り落とし肉を使って「豚汁」を作るようになりました。
とんかつ屋で出すから「とんじる」・・・そう呼ぶようになったのではないかと推測されています。
そうしてその後、東日本を中心に「とんじる」と呼ぶようになったのではないかと考えられています。
またテレビなどの影響で、「とんじる」という呼び方が全国へ広がっていきました。
確かに「豚汁」を普通に呼んだら「ぶたじる」ですもんね。