高浜市でランチが自慢のカフェ:salutサリュー

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間違った先入観

みなさんこんにちは。シェフ「H」です。

 

新型コロナウイルスの影響で休園していた施設が、少しずつですが開園してきているようです。

 

学校も4月から予定どおり始まるようですが、まだどうなるかわからない状況です。

 

さてみなさん、色々な物事についての先入観は少なからず持っていると思います。

 

実は僕もありました。

 

今は「あります。」ではなく「ありました。」です。

 

「マーガリン」についてです。

 

「マーガリン」ってどういうイメージがありますか?

 

僕にとって「マーガリン」と言われて想像するのは、「ネオソフト」です。

 

商品名はいいんですが、各家庭に1つはトーストに塗るいわゆる「マーガリン」が冷蔵庫に入っていると思います。

 

調理、製菓、製パンにおいてもコストを抑えるため、バターの代用品として使われることは多いです。

 

また製菓等では「ショートニング」を使ったりします。

 

ショートニングは、主として植物油を原料としたもので、マーガリンから水分と添加物を除いて純度の高い油脂にしたもので、常温で半固形状、無味無臭なので使い勝手がいいんです。

 

さて「マーガリン」ってどんなもの?

 

バターと何が違うの?

 

みなさんのイメージとしても「バターより安くて使い勝手がよいもの」という感じではないでしょうか?

 

バター・・・牛乳などの乳脂肪からつくられます。

 

マーガリン・・・食用油脂等(主に植物性油脂)の原料を混合し、練り合わせた加工食品。

 

バターのいいところは、やはり「コク」と「香り」にあると思います。(カロリーは気になりますが・・・)

 

しかし、バターを100グラム作るのに、牛乳が約2リットル必要なんです。

 

僕たちが使うバターはほとんどが1ポンドの塊です。

 

450グラムのバターです。

 

つまり牛乳が約9リットル!必要になります。

 

「あの塊を作るのに牛乳パック9本分の牛乳が必要なんだ!」

 

と思うと驚きです。当たり前ですが・・・

 

値段も高いわけです。

 

しかも原料だけでなく、作る工程もありますからね。

 

牛乳を作って、生クリームにして、バターを作る。

 

手間がかかります。

 

 

対してマーガリンは手間がかからないとは言えませんが、使用する油脂によって風味や成分を変えられたり、用途によって色々作り替えることが出来たり、安定供給もしやすいです。

 

それで題名の「間違った先入観」ですが、僕はマーガリンに比べ絶対バターの方が美味しい。

 

「パンにはやっぱりネオソフト」じゃないですが、「パンにはやっぱりバターでしょ!」と思っていました。

 

実際食べ比べてもそう思いました。

 

しかし・・・・・です。

 

ある本を読んで気になることがありました。

 

それは「奇跡のパン」という、いまや超人気「高級『生』食パン店」である「乃が美」代表阪上雄司氏の書いた本の中にありました。

 

なんと「乃が美」のパンには「マーガリン」が使われている、というものでした。

 

「え!高級食パンにマーガリン?」

 

ほとんどの方が「何でマーガリン?」と思うのではないでしょうか。

 

初めはバターを使おうと思ったそうです。

 

しかしバターの供給がおぼつかない状況で、代替となる素材を探した結果マーガリンになったそうです。

 

しかし彼らもマーガリンにはよくないイメージがあり、使うのは勇気がいる。

 

高級食パンを作ろうとしているのに、イメージダウンになる素材をあえて選択するのはどうかと・・・

 

そこでもう一段踏み込んで考えたそうです。

 

「なぜマーガリンはイメージが悪いのか。」

 

その理由は「トランス脂肪酸」。

 

心疾患リスクが高くなる、とアメリカで問題視されている成分です。

 

このトランス脂肪酸自体はそれを含む食べ物は多く、バターやラードにも入っているが、それがやり玉に挙がったという話しは聞かない。

 

ということで、トランス脂肪酸の含有量が低いマーガリンを探し、バターよりトランス脂肪酸の少ない最高級マーガリンを見つけたそうです。

 

国産バターの1/2〜1/3程度のトランス脂肪酸含有量で、コレステロール値も低くヘルシー。

 

植物性油脂は完全無添加、自然素材の原料で作られている。

 

そしてそのマーガリンを配合してパンを試作したところ、バター100%のときよりも素材の風味がくっきり立ち、今まで以上に素材の味を殺さないパンが作れたそうです。

 

それを読んで早速マーガリンを買いにいきました。

 

今までマーガリン売り場はあまり目にしていませんでした。

 

しかしよく見てみると安いマーガリンだけではなく、ちゃんとトランス脂肪酸含有量の低いものが売っていました。

 

確かに高いです。

 

でも食べてみないことには違いはわかりません。

 

トーストに塗って食べました。

 

「違う!おいしい!」

 

コクや香りもあり、すごく軽い。そしておいしい!

 

「トーストにはバター、マーガリンより絶対美味しい!」と思っていたのは勝手な先入観というのか偏見というのか・・・

 

モーニングのトーストにはバターをのせていましたが、マーガリンに変えました。

 

またもっと美味しいものがあれば変えるかもしれませんが、少し前からマーガリンを塗ってお出ししています。

 

ホテルに勤めている時に、業者の人に色々食材のことを聞いていたんですが、その時言われた言葉を今でも覚えています。

 

「一回食べてみれば?」

 

その通りです。

 

「百聞は一見に如かず」ですね。

 

何でも食べてみないと!

 

わからないことはたくさんあります。

 

またすべてのことに対して先入観を一度取り払って見てみないといけないな、と思った出来事でした。

 

 

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