みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
2023年は9月29日(金曜日)が「中秋の名月」「十五夜」ですね。
団子のお供え物をしたり、満月の月見を楽しむことが昔から風習ですね。
この日に、もう1つ面白い風習があるのをご存知でしょうか?
「お月見泥棒」です。
全国各地でこの風習が残っているようです。
僕の住んでいる愛知県西三河地区では聞いたことはありませんが、名古屋市内ではこの風習があることを聞いたことがあります。
この「お月見泥棒」という風習は、「子供たちがお供え物をこっそりと盗み取ることが、中秋の名月の晩に限って許される」というものです。
発祥や歴史についての正式な史書などはないようですが、古くから十五夜のお供え物は、子供たちがどの家のものでもこっそり盗んでもよし、もらい歩くのもよしとされてきました。
さらにどの畑に入って芋などを盗ってよし、よその家の柿などを盗るのも自由などという風習が全国各地に見られたそうです。
子供は月からの使いと見なされ、盗まれた家でも、「お供え物が全部なくなる方が縁起がいい」「盗られた家は豊作になる」と、むしろ喜んでいたようです。
子供たちにとっても「盗った団子を食べると健康でいられる」「供えられた豆腐を食べるとお腹が痛くならない」とする地域もあったそうです。
そもそも、お月見の際にお供えするものは、月見団子に里芋、枝豆、栗、柿などの秋の収穫物の初物です。
名月を愛でるだけでなく農耕行事とも結びつき、収穫に感謝する意味を持っているんです。
自然の恵み、秋の実りは、その家だけで独り占めせず、皆で分かち合おうとする昔の知恵の名残ともされています。
自分の家の祖霊だけでなく、より広い意味でのご先祖や精霊を敬う気持ちが、お月見泥棒の風習に込められているのではないかと考えられています。
お月見泥棒ではありませんが、この地域ではたくさん取れた野菜を知り合いに分けることがよくありますね。