みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
味噌汁に限らず、和洋中問わず汁物が恋しくなる季節ですね。
温かいものを口にすると、心もお腹も落ち着きますね。(笑)
日本料理では、「お吸い物」は「すまし汁」や「汁物」と混同されることが多いです。
これらの違いは何か?
結論から言ってしまうと、
「お吸い物」・・・「汁と具材」がメイン
「すまし汁」・・・「澄んだだし汁」がメイン
の料理になります。
もう少し詳しく話していきますね。
「お吸い物」とは、かつお節や昆布から取っただし汁に醤油や塩などで味付けしたもので、具材には肉や魚介類や野菜をメインに使用します。
「だし汁」だけではなく、具材もおかずの1つとして楽しみます。
ということから、酒の肴やおかずとしても食べられることができるものになります。
「お吸い物」は3種類の具材から成り立っています。
・「碗種(わんだね)」・・・肉や魚介類、豆腐や練り物などの具材
・「つま」・・・野菜や海草類などの碗種の引き立て役
・「吸口(すいくち)」・・・三つ葉や柚子、ミョウガ、ネギなどの香りを引き立たせるもの
この3種類の具材が入っているものを「お吸い物」と呼びます。
一方、「すまし汁」は「澄まし汁」と書きます。
これは、かつお節や昆布だしで取っただし汁に醤油や塩などで味をつけた透明な汁物を指しています。
このため、だし汁は濁っておらず、透明な汁物を「すまし汁」と呼びます。
「すまし汁」は「お吸い物」と違い、だし汁がメインで、だしの旨味や香りを楽しむ料理になります。
それでは味噌汁は?
味噌汁は、その名の通り「味噌を用いた汁物」です。
かつお節や昆布だし、煮干しなどで取っただし汁に味噌を溶いて作る汁物となります。
お吸い物の起源は奈良時代にまで遡り、当時は「羹(あつもの)」といわれていて、野菜や魚肉を熱く煮た吸い物でした。
室町時代には「吸い物」と呼ばれ、江戸時代になると味付けや具材も増え、季節ごとのお吸い物も考案されるようになりました。
インスタントの「松茸のお吸い物」も美味しいですが、たまにはきちんと出汁を取ったお吸い物も食べてみたいものですね。
ところでインスタントの「松茸のお吸い物」は、本当は「松茸のすまし汁」と言った方がいいのかな・・・?
写真は洋風のだし汁ですが・・・(汗)