みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
みなさんは、「カトラリー」って聞いたことありますか?
「カトラリー」とは、食卓で使うナイフやフォークなどの総称です。
結婚式やレストランの食事で、ナイフやフォークが、ずらーっと並べられていると緊張してしまいますよね。
「どれから使うんだ?」
みたいに・・・
レストランでは順番に交換してくれますが、結婚式などの大勢で食事する場では、サービスの人がいちいち交換していては大変なので、あらかじめ並べられています。
その点、和食は「お箸」のみで事が足りてしまいます。
スゴいですよね。
今では、そうした宴会の食事にも、あらかじめ「お箸」が用意されていますし、無ければ言えば持ってきてくれます。
なので、遠慮なく伝えたらいいですよ。
慣れない物を使って食べても、美味しくないですからね。
ストレス無く食べた方がいいです。
そんなカトラリーが、フレンチやイタリアンなどの洋食で使われるようになったのは、なんと19世紀ごろなんです!
たった200年前くらいからなんですよ!
「お箸」が誕生したのが、今から3000年以上前の中国です。
日本で「お箸」が使われたのは、弥生時代と考えられています。
卑弥呼が邪馬台国を支配していた頃ですね。
そして、食事に使われるようになったのは、今からおよそ1400年前(飛鳥時代)です。
それに比べると、歴史はかなり浅いですね。
特にフランスは、遅れていたようですね。
それでは、ナイフやフォークなどのカトラリーを使う前は、何で食べていたんでしょうか?
「まさかお箸?」「ピンセットみたいなの?」「サーベルみたいなので刺して?」
違います!
答えは・・・・
「手」なんです!
手づかみで食事をしていたんです!
「え〜、そうなんだあ〜」
ですよね。
何だか文明が遅れてるのか?・・・なんて思ってしまいますよね。
でも、これは単に「道具が無かったから」とは言えないようなんです。
「手づかみ」で食事をしていたのには理由があります。
これは「指は神様が与えた優れた道具である」という宗教観があるからなんです。
そんな手づかみの食事を変えるきっかけになったのは、有名なイタリアのメディチ家から、7代目当主ロレンツォ2世の孫娘であるカトリーヌ・ド・メディシスがフランス王家に嫁いだことからなんです。
結婚パーティーでは、メディチ家側はすでにナイフフォークを使い食べていたんですが、フランス王家はまだ手づかみで食べていたようです。
これが1533年のことです。
この事がきっかけで、メディチ家専属のイタリア人シェフが書いた食事作法の本が生まれました。
実はそれくらいフランスは、食事のマナーにおいても遅れていたんですよ・・・