みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
フランス・パリで、日本人が初めてミシュランの3つ星を獲得したニュースが入ってきました。
長野県諏訪市出身の小林圭氏(42)です。
快挙です。
フランスに渡ったのが1999年。
と言うことは、僕と一緒です!
どうしてこんなに違ってしまったんだろう?・・・
なんて思います。(笑)
ずいぶん昔から本当に多くの日本人がフランスに渡り、料理の修業に行きました。
僕たちの先輩方は本当に苦労してきました。
今でこそ日本人が認められてきましたが、まだまだ差別はあります。
50年ほど前は仕事をすることさえ隠れてやっていたような時代ということを聞いたり、本で読んだりしました。
日本がどこにあるのか知っているフランス人の料理人などほとんどいない時代でしたから。
僕も恥ずかしながらフランスに短い間ですが滞在した経験があるので、そのこともふまえて書いていこうと思います。
僕が滞在していたのは1999年3月から2000年2月でした。
今からおよそ20年前です。
フランス人のほとんどは、日本がアジアのどこにあるかもよくわかっていません。
もちろん興味のある人達は別ですけど。
逆に考えると、フランスはどこにあるかハッキリ答えられる日本人はどれくらいいるかと言うことと同じです。
日本人はフランスに憧れている人も多く、人気があります。
だからなんとなく知っている人は多いです。
逆に日本に興味のあるフランス人は変わり者だったかもしれません。
当時も日本のアニメや柔道はフランスで人気がありました。
それでも僕が言われたのは、
「日本?ジャッキーチェンだな!」
「あと、忍者!カンフー!空手!」
「ジャッキーチェンは日本人じゃないよ」
と言っても、
「同じだ」
と言うくらいな感じで、彼らには日本も中国も韓国も香港も同じです。
もちろん区別もつきません。
昔と環境は変わったとは言え、ミシュランで星を穫ることがフランス人でさえ大変なことなのに、日本人が異国のフランスで、しかも「食の都」と言われるパリで、そしてフランス料理で勝負し、3つ星を穫る。
想像を絶する努力し、また犠牲にしてきたこともたくさんあると思います。
僕はそこまで経験していないので多くのことは言えませんが、異国での今回の快挙は本当にスゴイことだと思います。
そして今回の3つ星の獲得は、もちろん小林さんの努力の賜物だと思いますが、今までの先輩方の苦労あってのことと言うことも出来るかもしれないと思います。
このニュースが今後の料理界の活性化に繋がることを願います。
一方でフランス料理界の重鎮だった故ポール・ボキューズ氏のレストラン「ポール・ボキューズ」が、1965年以来維持してきた3つ星を今回失うこととなったのも衝撃のニュースでした。
僕の知っている限り、ポール・ボキューズ氏は、フランス料理界に日本の会席料理のサービス方法を取り入れました。
みなさん聞いたことがあるかもしれませんが、「ヌーベルキュイジーヌ」というフランス料理の流れを作った人でもあります。
「ヌベルキュイジーヌnouvelle cuisine」
「新しい料理」という意味です。
今までの伝統的なフランス料理ではなく、食材の持つ風味や質感、色彩を重視し、より軽く、繊細な盛りつけへと大きく変わっていきました。
ポール・ボキューズ氏はいち早く、日本料理の技法や盛りつけ、色どり、提供方法を取り入れ、現在のフランス料理への大きな流れをつくった偉大なシェフの一人です。
今回のニュースはフランス料理界にとって大きな出来事となるでしょう。