みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
ドリンクオーダーでアイスコーヒーを頼まれる方が増えてきました。
サリューでは、だいたい5月半ばくらいから「水出しコーヒー」の提供を始めます。
普通アイスコーヒーは、深煎り豆を少し濃いめにドリップし、冷やしたもの使います。
「水出しコーヒー」は深煎りの豆にゆっくり水を落として抽出していったり、水につけて抽出していく方法もあります。
「ダッチコーヒー」とも呼ばれます。
僕の勤めていたホテルのコーヒーショップには、高さが90センチくらいある水出しコーヒーの抽出機が4台並んでおり、目を引くオブジェのようにでした。
一晩かけて抽出する水出しコーヒーは、とても美味しかったです。
コーヒー自体の苦みや雑味が少なくなり、スッキリしているけど、しっかりとコーヒーのエキスが出てコクを感じる味でした。
そのままでは少し濃い感じですね。
そのまま氷なしで飲む人もいれば、氷を入れる人、温めて飲む人、ミルクで割る人・・・
どれも美味しいかったです。
そのコーヒーで、コーヒーゼリーも作っていました。
サリューでは高浜市内の『スギコーヒーロースティング』さんのスペシャルティーコーヒーの深煎り豆を水出しにしています。
何が違うって、本当は飲み比べてもらうとよくわかりますが、香りが違います。
冷たくても香りが良いんです。
スッキリしているので、そのままでも美味しいです。
もちろん好みなので、シロップを入れたり、ミルクを入れたりしても美味しいです。
味とエキスが濃く感じられるので、カフェインも多いのではないかと思われがちですが、実はお湯で淹れたコーヒーと比べて、カフェインの量は抑えられているんです。
この「ダッチコーヒー」とも呼ばれる水出しコーヒーですが、そもそもなぜ「ダッチ」とつくのか?
「ダッチ(Datch)」とはオランダの国を意味します。
しかし「ダッチコーヒー」はオランダが発祥ではないんです。
17世紀にオランダが設立した世界初の株式会社「東インド会社」は、当時領地だった東南アジアのインドネシアにも進出しました。
その頃、インドネシアで栽培されていたのは「ロブスタ種」と呼ばれる苦みの強いコーヒー豆でした。(ロブスタ種は現在でも缶コーヒーなどに使われています。)
コーヒーをよく飲んでいた西洋の人にはあまり口には合いませんでした。
そこでオランダ人は、どうにかそのコーヒー豆から美味しく抽出する方法はないか、と考え出したのが「水出し」という抽出方法でした。
豆の独特の苦みや雑味を抑えて抽出することができる水出しコーヒーは、考案者にちなんで「ダッチコーヒー」と呼ばれるようになりました。
これはもともとオランダにあった抽出方法ではありませんが、「なんとか美味しく飲みたい」という思いが生んだ苦肉の策でもあったようです。
暑くなったら、コーヒーに限らず、紅茶や日本茶でも水出しをすると、スッキリと美味しくできますよ。
試してくださいね。