みなさんこんにちは。シェフ「H」です。
農産物の「品種名」と「商標名」の話をしてきました。
こういった話は直接関係無くても、僕たちの使う食材という点で間接的に関係してくるのでとても興味があります。
以前、和牛の流出が話題になりました。
和牛のお肉が流出したのではなく、雄の精子が中国に不正に持ち込まれたんです。
これもたまたま見つかったものなので、氷山の一角だろうと推測されています。
話は少し違いますが、日本の農作物が勝手に販売されていた話です。
今回はみなさんご存知『デコポン』です。
このデコポンが、アメリカに無防備に持ち込まれて栽培され、販売されていたということなんです。
『デコポン』は商標名です。
世に売り出される時のブランド名です。
『デコポン』の農産物としての品種名は『不知火(しらぬい)』といいます。
聞いたことがあると思います。
この『不知火』という名前は、熊本県果実農業協同組合会が商標権を持っています。
これがなんと、アメリカのカリフォルニア州で『Sumo』という名前で販売されていたそうなんです。
なぜそんなに騒ぐのか?
「別に名前が違って売られるのは海外だからいいじゃない」
と思われるかもしれません。
しかし、これを販売していたのは、熊本県果実農業協同組合連合会とは関係がないと思われる会社だったそうです。
もちろん熊本県には利益還元はありません。
ということは、『不知火』という品種が、海外に無防備に流出していたという結果なんです。
農作物って勝手に持ち込みができないので、きちんとしたルートで持ち込まれたとは思いますが、「品種登録」や「商標登録」や「販売権利」などの点で甘かったところがあったんです。
これは、熊本県というより日本にとっても非常に残念なことですよね。
でも非常に難しい問題になってきますよね。
『不知火』を勝手に栽培できないように、アメリカで品種登録していれば良かったことですが、まさかそうなるとは思っていなかったでしょうね。
仮に『不知火』を品種登録していなくても、熊本県や農協が『不知火』の苗木を提供する代わりに、販売する際は『デコポン』の商標を使い、売り上げの何%かは熊本県に還元するという契約を結んでいれば良かったんですが・・・。
日本の商標権は国内のみなので、海外で商標権を得るためには、各国ごとに商標登録する必要があるんだそうです。
品種登録も同じです。
大変ですよね。
しかし、それは現在の世界では当たり前のようです。
日本の意識が低いだけなんです。
海外での販売を視野に入れている場合は特にそうです。
せっかく大切に育ててきた農産物が、そのように勝手に栽培され、販売されていては非常に悔しいですよね。
日本食が世界的にも認められ、食材に関してもすごく注目されています。
今後、海外での品種および商品の登録は必須になってくるのかもしれません。